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前畑遺跡(国史跡)[筑紫・若江]
前畑遺跡(まえはたいせき)は、筑紫駅西口土地区画整理事業地内の文化財の遺跡で、平成27年の発掘調査で前畑遺跡土塁状遺構(どるいじょういこう)が発見されました。
調査の結果、土塁状遺構は丘陵の上に断続的に自然の尾根を利用して造られていることが分かりました。その工法は、古代の築造物にもちいられる積土です。しかし、近隣に所在する古代の土塁や山城の積土の方法とは違うありかたで、古代に伝わった土木技術が一様ではないことも窺(うかが)わせるものでした。
土塁状遺構の周囲とその上面からの遺物などから、7世紀中頃前後につくられ、主に8世紀後半頃まで使われたと考えられています。発見された土塁状遺構の総延長は558mにのぼり、本来であればまだ長かったと考えられます。指定となったのはその内320mです。
これほどの規模であるので、国家的な関与があると考えられ、古代大宰府(こだいだざいふ)を取り巻く山城や土塁などと併せて機能していたと考えられます。
※ 個人の土地が含まれるため、現在は現地の公開、案内を行っていません。
前畑遺跡 (土塁状遺構一部)
※遺跡の詳細が掲載された文化財調査報告書を筑紫野市歴史博物館で閲覧できます。
(1)『前畑遺跡第13次発掘調査 土塁状遺構発掘調査概報』筑紫野市文化財調査報告書第116集(2018)
(2)『前畑遺跡第13次発掘調査 土塁状遺構の発掘調査』筑紫野市文化財調査報告書第121集(2020)
(3)『前畑遺跡重要遺跡確認調査』筑紫野市文化財調査報告書第122集(2021)
※(1)、(3)は購入もできます。





