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柚須原の木造聖観音坐像(市有形文化財)[柚須原]
「柚須原の木造聖観音坐像」は柚須原の観音堂で地域の人々により永く守り伝えられてきましたが、その特徴や光背(こうはい)の銘文から、康永(こうえい)3(1344)年に造られた、市内最古級の木造の仏像であることがわかっています。また江戸時代に書かれた「筑前国続風土記附録(ちくぜんのくにぞくふどきふろく)」に、柚須原の観音堂にある康永3年の銘をもつ仏像として記されています。
康永年間(1342年から1344年まで)はいわゆる南北朝の時代で、鎌倉幕府を滅ぼしたあとの後醍醐(ごだいご)天皇と足利尊氏(あしかがたかうじ)の争いに全国の武士が加わった騒乱の時代でした。当時の人々は不安定な時代に心の平安を求めてこの仏像を造り、大切にしてきたのかもしれません。
柚須原の木造聖観音坐像
観音堂内で祀られていたときの様子