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筑紫神社粥占行事付粥鉢一口(市無形民俗文化財)[原田]
粥占(かゆうら)は、五穀豊穣、国内安全を願って粥を炊き、粥の表面に発生するカビをみて、その年の農作物、天候、流行病の吉凶などを判定する行事です。使用する銅製粥鉢の銘文から、文化(ぶんか)2年(1805年)には筑紫神社で行われていたことがうかがわれます。
2月15日(旧暦正月15日)、元旦に氏子が神社にあげた年玉(白米に昆布・するめを混ぜたもの)の米約8合で神職が粥を炊いて鉢に盛り、その上に11月卯日の宮座(原田の本座・筑紫座)で用いた柳の箸を十文字に載せ、東西南北に仕切ります。東が豊前、西が肥前、南が筑後、北が筑前で、それぞれに国名札を立て、木箱に入れ封印をして神殿に納めます。3月15日(旧暦2月初卯日)未明、神殿から粥箱を下ろして開き、神職と氏子でカビの生え具合を見て、それぞれの方角の吉凶を占います。
この行事は、本市内では他に行われておらず、県下でも類例が少なく貴重であるため市無形民俗文化財に指定されました。
※ 粥鉢の銘文
(側面)「奉寄進筑紫宮神粥鉢躰文化二乙丑年十一月吉日」
(高台内(こうだいない)1)「山鹿包賢作」
1) 椀などの本体底部の基台の内側
『筑紫野の指定文化財』より
粥の様子(表面にカビが生えた状態)
粥鉢