遺跡から出土した土器や陶磁器のなかには、墨や朱で文字や記号、絵などをかいたものがあります。西小田地区遺跡の井戸から出土した白(はく)磁(じ)の裏面には、「藤太郎」という名前が記されています。墨書文字の内容には、官職、地名、吉祥句、方位、器の使用目的、土地の性格などがあります。日本のどの地域でもそうですが、地方史がわかる文献史料は少なく、出土した墨書文字の研究は、遺跡の性格や文字を書いた人々を知るうえで貴重な情報源なのです。