動物由来の感染症について
「動物由来感染症」とは、動物から人に感染する病気の総称です。人と動物に共通する感染症(「ズーノーシス zoonoses」)は、日本では「人獣共通感染症」と言われたり、「人と動物の共通感染症」などとも言われたりしていますが、厚生労働省は人の健康問題という視点に立って「動物由来感染症」という言葉を使っています。
なお、「動物由来感染症」には、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの、その逆で、人は軽症でも動物は重症になる病気など、病原体によってさまざまなものがあります。
日本で起きた症例
狂犬病
海外で犬に咬まれ感染した人が日本帰国後発症し、死亡。
オウム病
展示施設の従業員や来場者の間で集団発生。
エキノコックス症
キタキツネのふんで感染して20年後に発症。
腸管出血性大腸菌感染症
触れ合い動物施設に来場した人の間で集団感染。
Q熱、パスツレラ症、猫ひっかき病、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症、コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
犬、猫がふつうに持っている病原体で、過度の密接な接触によって感染。
レプトスピラ症
感染ネズミの尿で汚染された池や川で水遊びをして感染し、発熱。
サルモネラ症
ペットのミドリガメやイグアナ等の爬虫類から子どもが感染し、重症に。
日本紅斑点熱
温暖な太平洋沿いでダニに咬まれて発症し、春と秋が発生のピークに。
結核
動物園のサルが感染し、安楽死処分に。
デング熱
流行地域に滞在中に蚊に刺されてウイルスに感染し発熱、まれに重篤なデング出血熱になることもある。
日常生活で注意すること
過剰な触れ合いは控えましょう
細菌やウイルス等が動物の口の中やつめにいる場合があるので、口移しでエサを与えたり、スプーンや箸の共用は止めましょう。
動物を布団に入れて寝ることも、濃厚に接触することになるので要注意です。
動物に触ったら、必ず手洗い等をしましょう
動物の毛には寄生虫の卵等がついていることがあります。
また、知らないうちに動物の唾液や粘液に触れたり、傷口等にさわってしまうこともあります。
その他、動物から排せつされた病原体を吸い込むこともあるので、動物にさわったら必ず手洗い等をしましょう。
動物には病気を起こさなくても人には病気を起こす病原体があります。
動物の身の回りは清潔にしましょう
飼っている動物はブラッシング、つめ切り等、こまめに手入れをして清潔にしておきましょう。
小屋や鳥かご等はよく清掃をして清潔に保ちましょう。
タオルや敷物、水槽などは細菌が増殖しやすいので、こまめな洗浄が必要です。
砂場や公園で遊んだら、必ず手を洗いましょう
動物が排せつを行いやすい砂場や公園は注意が必要です。
特に子どもの砂遊び、ガーデニングで草むしりや土いじりをした後は、十分に手を洗いましょう。
また、糞を見つけたら速やかに処理しましょう。
糞尿は速やかに処理しましょう
糞が乾燥すると空気中に漂って、吸い込みやすくなります。糞尿に直接ふれたり吸い込んだりしないよう気をつけ、早く処理しましょう。
室内で鳥を飼育する時は換気を心がけましょう
羽毛や乾燥した排せつ物、塵埃などが室内に充満しやすくなります。室内の清掃のほか、定期的な換気に努めましょう。
野生動物の家庭での飼育や野外での接触は避けましょう
野生動物はどのような病原体を保有しているか分かりません。
動物由来感染症予防のため、また野生動物保護の観点からも、野生動物の飼育を避けましょう。
動物由来の感染症について詳しくはこちら(関連サイト)
動物由来感染症 (厚生労働省)